親指シフトのことを書いたら批判を受けた話。バズる文章のひとつの書き方はこんな感じなのか?

公開日 2021-09-08 最終更新日 2021-09-12

このブログは基本的に、「役に立つことをわかりやすく書こう」をテーマにしています。
ウェブサービスやガジェットの使い方などを取り上げ、「こんな便利な使い方がありますよ」と伝え、読者の生活をほんの少し快適にするのが目的のひとつ。
そのためか記事をシェアいただくことはあっても、批判の経験は自分の記憶では一度もありません。

それが先日書いた記事に、いくつかの(中には攻撃的な)批判をいただきました。
その記事とは、「親指シフトをやめようかと検討中。リターンに対してのデメリットが多すぎる」です。
この「批判を受ける現象」が興味深かったため、今回、記事にすることにしました。

今回の記事は普段のような「役立つこと」ではなく、基本的には自分の考えを思いつくままに書いただけです。
ただそれだけだと読む人にあまりメリットがないので、「バズる記事の型とは」といったテーマでまとめることにしました。
バズる記事を書きたい人にとって、多少は参考になるかもしれません。

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親指シフトのことを書いたら批判を受けた話。バズる文章のひとつの書き方はこんな感じなのか?

批判を受けた記事は5000文字くらいと長いため、内容をかいつまんで紹介します。
平たく言うと、「キーボードの入力方法を変えようかな」という話です。

それまでの7年間、「親指シフト」という、パソコンに標準装備されていない入力方法を使っていました。
ただ標準装備でないだけに、設定や不具合で何かと時間を取られるんですね。
そのため、「標準装備のローマ字入力を試してみることにしました」と書きました。

ローマ字入力であれば、不具合やキーボードの選択の制限に悩まされることはないだろう、と思ったわけです。

想定外の批判を受けてびっくり

公開したテキストをどう解釈されても致し方ないのですが、この記事で伝えたかったことは、「親指シフトには、これだけ大変なことがありますよ。それを知った上で、選んだほうが良いですよ」でした。

つまり、これから親指シフトをやってみようと思っている人へ、7年間使ってみての正直な感想を伝えておこうと思ったんですね。
その情報は、ウェブに置いておく価値があるだろうと。

そのため記事内では、親指シフトのデメリットを主に書いています。
といっても7年間も使っていた事実がありますから、「基本的には親指シフトが好き」という自分のポジションは設定したつもりでした。

そうしてできあがった記事をアップしたところ、その日の夜から批判を目にしました。
初めてブログの記事に批判を受けたので、「え、なんで…」とびっくりです。

批判は大きく2つあった

現状で確認できている、批判されている方々を分類わけすると、以下になります。

  1. 親指シフトを使っている人
  2. 親指シフトより、良い打ち方があると考える人

このどちらからの批判も正直まったく想定していなかったので、本当に驚いてしまいました。
では批判の内容を、詳しく書いてみます。

1. 「親指シフトを使っている人」からの批判

まずは、「親指シフトを使っている人(好きな人)」からの批判です。
こちらは、Facebookからの流入が急に多くなったので気づきました。
調べてみたら、親指シフトのグループ内でシェアされていたんですね。

シェアされた投稿のコメントを読むと、おそらく反射的に書かれたのでしょう、記事に対する攻撃的なコメントをいくつか見ました。

批判のグループに参入

その批判を見て、つい「書いた本人が登場したら、どうなるのだろう」と興味が出てしまいました。
「執筆したものです」と本人が登場したら、どういった反応が来るだろうと。

グループ管理者の方に承認してもらい、早速スレッド内に「執筆者です」とコメントしてみました。
すると当然ながら攻撃的なコメントはなくなり(記事に対する建設的な批判はいただきました)、参考になる意見をたくさんうかがうことができました。

40年近く親指シフトを使っているひとがいるという驚き

そのグループ内には、35年間や37年間も親指シフトを使い続けている方がいました。
「そうか、こういった方々がいるのだな」と驚きました。
7〜8年前に親指シフトを知った自分には、まったく欠けていた視点です。

40年近く親指シフトを使っている人は、「ワープロ時代に最も効率の良かった入力方法」として、親指シフトを選択しています。
キーボードに手を触れたときから現在まで、ずっと親指シフトで入力しているのです。
(この表現が適切かどうかわかりませんが)親指シフトに対して、一種の信仰心のようなものを抱いていても、不思議ではありません。

そんな方々がいるグループ内で、一方的に親指シフトを悪く書いた記事がシェアされれば、反発されるのは当然です。

2. 「親指シフトより、良い打ち方があると考える人」からの批判

もうひとつの批判は、「親指シフトより良い打ち方がある」と考える方々です。
この方々からの主な批判は、「親指シフトより良い打ち方があるのに、なぜそれらを試そうとしないのか」でした。

自分自身、「かな・ローマ字・親指シフト」以外に入力方法のあることは知っていましたが、まさかそれらを使っている方々から批判が来るとは思いもよりませんでした。
なぜならこういった意見は、自分の書いた該当記事の趣旨から外れるからです。

主張が噛み合っていない

該当の記事では、「親指シフトはパソコンに標準装備されていないため、不便な点が多々ある。そのため、パソコンに標準装備されているローマ字入力を試すことにした」と書いています。
入力方法の切り替えの候補は、「パソコンに標準装備されているもの」が前提です。

そのため、親指シフトでもローマ字入力でもない人から批判を受けるとしたら、「なぜパソコンに標準装備されている、かな入力を使わないのか?」しかありえません。

つまり「記事の内容」と「(標準装備されていないが)親指シフトより良い打ち方があるのに、なぜそれらを試そうとしないのか」、この2つの主張が噛み合っていないのです。

何に悩んでいるかは、大きな問題ではないのでは

ただ、こちらの批判の背景は、すぐに理解できました。
「親指シフトより良い打ち方がある」と考える人にとって、ぼくが何に悩んでいるかはあまり問題ではないようでした。

普段から、「なぜ親指シフトより良い打ち方があるのに、みんなはそれを検討すらしないのか」といった問いがあり、その問いに対する答えを展開するため、おそらく「親指シフトをやめた」という該当記事のワードのみをピックアップされたのだと思います。

分断を強化する記事だった

ここまでが、記事をアップし、批判をいただくまでの経緯です。
しかし経緯を書くだけでは、読む人にメリットが薄いと感じました。
なので最後に、冒頭に設定した「バスる記事の視点」からまとめてみます。

ある対象の悪い部分だけ書いたことで、批判が起こった

今回の批判を受けて思ったのは、「自分の記事は、分断を強化するものだった」でした。

もし記事の書き方が、「親指シフトのメリットとデメリットを、どちらとも平等に書きます。親指シフトを使ってみたい人は参考にしてください」であれば、おそらく批判は受けなかったと思います。

しかし親指シフトの悪い部分だけを書いたことで、親指シフトを長年使っている人からは「大してキャリアもないくせに、すべてわかったように書くな」と批判され、親指シフトより良い打ち方があると考える人からは、「それ見たことか、なぜ親指シフトより効率的な打ち方を探し、試さなかったのか」と親指シフト以外の入力方法を見つけられない探究心の低さを批判されてしまいました。

狙った範囲とはまったく別の人たちへ届いた

つまり一方に偏った意見を書いたことで、両者の分断を強めてしまったんですね。

(もちろん、双方とも分断していると意識していないでしょうし、実際に互いの考えを理解し尊重しあっているかもしれません。

実際、親指シフトのグループ内に「親指シフトより効率的な入力方法がある」という内容のブログ記事を紹介したところ、「別の打ち方を知った上で、外側から親指シフトを見ることは大切なことだ」と建設的な意見をいただきました。

また、こうして2つに分けられるのも、抵抗があるかもしれません。
あくまで「自分にはそう見えた」ということです)

自分としては該当の記事を書くことで分断を助長する意図はまったくなく、「親指シフトをこれから使う人は、大変な面があることを知ってくださいね」と親指シフトを使っておらず、興味を持っている人へターゲティングしたつもりでした。

それがターゲットとはマップ上、別の場所にいる、キーボード入力に熟達したベテランたちの心を刺激してしまったのです。

分断の強化は読む人の心を刺激する

この点から思うのはバズる記事を書く一つの方法は、分断の強化ではないかと思いました。
アメリカでバズりまくったトランプ元大統領の行ったことは、報われていない白人男性の心の扇動でした。

分断を強化するのに必要なのは、双方の良い点と悪い点を平等に書くのではなく、また片方の良い点だけを書くのでもありません。
二項対立の片方を、徹底的に悪く書く。
これがバズる記事のひとつの法則なのではないか、そんなことを思いました。

まとめ

と、つらつらと考えたことをまとめました。
「二項対立の片方を、徹底的に悪く書く」これはひょっとしたら、バズる記事のひとつの真実なのかもしれません。

ただしここまで書いておいてちゃぶ台返しをしますが、ぼく自身は、まったくこの方法を勧めません。
片方だけに悪い部分があるのは、原理的にあり得ないと思うからです。

該当の記事で親指シフトの悪い面ばかりを書きましたが、それは7年間も親指シフトを使い続けた(つまり気に入っていた)ことを前提にした上での記述でした。

結局、親指シフトに戻る

最後にまったくの余談ですが、ローマ字入力を試した結果、たった3日でまた親指シフトに戻ってしまいました。
ローマ字入力と親指シフトとを比べると、やはり親指シフトのほうが入力が楽でした。

今後、別の入力方法を検討してみるかもしれませんが(実際、論理的な観点から見て、親指シフトより効率的な入力方法がいくつかあるようです)、現状ではキーボードの入力方法自体にそこまで興味を持てないんですよね。
またしばらくは親指シフトを使っていこうと思います。

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Macで親指シフトの入力をするには、エミュレータが必要です。
Macのエミュレータには、執筆時点でLacailleがあります。

LacailleのMacへの設定方法を、以下に書きました。

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