最終更新日 2021-11-29
ぼくたちは物心ついたときから、他者との競争にさらされています。
競争は必要なものとはいえ、その中にいると心は疲弊します。
この記事では競争の見方を変えて、幸福感を高める方法を紹介します。
この記事の目次
競争に疲れたなら見方を変える【比較すべきは過去の自分】
考えてみると、ぼくたちは物心ついたときから誰かと比べられています。
兄弟がいれば、「兄(姉)のほうが」「弟(妹)のほうが」と比較される。
近所に同い年の子がいれば比較され、学校に入れば成績やスポーツに優劣がつきます。
社会に出ても同じです。
同期入社と競わされ、競合他社と競い、いつまでも心が休まりません。
社会で生きる限り、ぼくたちは他者との競争から逃れられないように思えるのです。
競争から逃れられないのは真実ではありますが、疲弊感をなくすことは可能です。
その方法は、競争の見方を変えることです。
競争は社会にとって必要なもの
そもそも、競争は悪いことなのか。
社会全体から見れば、競争は必要だと思います。
他者との競争があることで、個人は努力して自分の能力をあげます。
また企業において競争とは、「消費者から選んでもらうこと」をさします。
消費者から選ばれる理由は、価格や品質、サービスなど様々。
もし競争がこの世からなくなれば、モノやサービスの価格はもっと高くなるし、品質やサービスは確実に悪くなります。
競争をなくした社会主義・共産主義の国の多くは、衰退もしくは崩壊すらしてしまいました。
競争は社会全体が成長していく上で、必要なものと言えます。
競争の3つのマイナス面
しかし個人に目を向けると、競争はマイナス面もあります。
マイナス面は、以下3つです。
- 自己肯定感が下がる
- 上位グループ維持のコストが掛かる
- いつまでも戦いをやめられない
1. 自己肯定感が下がる
競争に勝ってトップになれるのは、ほんの一握り。
勝つ人よりも、負ける人の方が圧倒的に多いです。
上を見て他者と比較しているといつまでも満足できません。
その結果、自己肯定感が下がり、永続的な幸福感を持てません。
2. 上位グループ維持のコストが掛かる
トップは難しくても、努力次第では上位10%に入れるかもしれません。
それで安泰かと思いきや、上位10%は下位90%より過酷な世界です。
上位10%にいるひとたちは、その地位を維持するため一層の努力をしています。
競争に勝ち上がり上位に入れても、その地位を維持するためさらに時間やお金、体力などコストを払い続けなければなりません。
競争を続ける限り息をつけず、心が休まらないのです。
3. いつまでも戦いをやめられない
例えば「Twitterのフォロワー数を増やしたい」と、努力したとしましょう。
1000人、5000人と増えていき、ついに1万人のフォロワー数を達成しました。
それ自体はすごい数ですが、達成した途端に5万人、10万人とさらに上の存在が気になります。
上には上がいます。
競争を続けると、いつまでも戦いをやめられません。
競争自体が好きならいいですが、そうでないなら疲弊してしまいます。
アドラー心理学では競争を否定している
ちなみに書籍『嫌われる勇気』で有名になったアドラー心理学では、「他者から認められたい」といった動機での競争を否定しています。
以下、引用です。
青年 それは競争から降りた、つまり負けを認めたということですか?
『嫌われる勇気』より
哲人 違います。勝ちや負けを競い争う場所から身を引いたのです。自分が自分であろうとするとき、競争は必ず邪魔をしてきます。
3つの視点で競争の捉え方を変える
では、競争をしなければ良いのか。
競争しなければ、ストレスなく、その日その日を楽しく生きられるかもしれません。
しかし、充実感や達成感は得られません。
成長を実感できない刹那的な人生は、生きていて張り合いがないでしょう。
つまり上昇志向は必要ですが、他者との競争は心が疲弊するのです。
そこで、競争の捉え方を変えてみましょう。
具体的には、以下の3つの方法です。
- 縦軸だけで人を見ない
- 競争しなくて良い分野を見つける
- 過去の自分と今の自分とを比較する
1. 縦軸だけで人を見ない
自分と周りとを比較するのは、縦軸にとらわれている証拠です。
縦軸に横軸を加えると、比較する要素が複雑になります。
ある分野では周りの誰かが自分より進んでいるかもしれませんが、別の分野では自分のほうが進んでいる。
縦軸だけでなく横軸を加えて客観的に俯瞰できれば、特定分野の優劣で焦燥感に駆られることはなくなります。
2. 競争しなくて良い分野を見つける
そもそも同じ場所で競うから、「どちらが上か」と競争になります。
であれば周りの人が勝負していない場所に、ポジションを取るようにします。
人気の高い分野は、競争もまた激しいです。
その分野に参入して競っている理由は、「なんとなく」だったり「みんながやっているから」だったりします。
「心からやりたい」と思っているわけではないのです。
自分の得意な分野で誰もいない場所を見つけられれば、他人と比べることなく力を発揮できます。
筑波大学准教授の落合陽一氏は、著書『超AI時代の生存戦略』で、「ひとりひとりが違うことをするから価値がある」と書いています。
今、この世界で他人と違うのは当たり前で、他人と違うことをしているから価値がある。もし、他人と競争をしているならば、それはレッドオーシャン(競争の激しい市場)にいるということだ。つまり、競争心を持つというのは、レッドオーシャンの考え方で、そうではなくて一人一人がブルーオーシャン(未開拓な市場)な考え方をしなくてはいけない。
『超AI時代の生存戦略』より
3. 過去の自分と今の自分とを比較する
なぜ競争は、心を疲弊させるのでしょうか。
その理由は、他人と自分とを比較しているからです。
上には上がいます(何度も書いて恐縮ですが)。
競争に参加する限り、常に自分より進んでいる人と自分とを比べることになります。
絶えず劣等感にさらされるわけで、当然ながら自己肯定感は下がります。
どうせ比較するなら、他人より過去の自分のほうが良いです。
勉強でも仕事でも過去の自分のアウトプットをみると、「このころは、この程度だったのか」と思うはずです。
周りのできる人と比較すれば落ち込みますが、過去の自分と比較すると成長を実感できて前向きになれます。
われわれが歩くのは、誰かと競争するためではない。いまの自分よりも前に進もうとすることにこそ、価値があるのです。
『嫌われる勇気』より
視点を変えて成長していこう
ネット社会になって、競争は一層加熱しています。
ネットは、数字で状態を可視化するからです。
SNSでフォロワー数が明確になると、「フォロワー数が多くてすごい」「それだけしかフォロワー数がいないのか」と単純に考えてしまいます。
この記事を書いているブログにせよ、SEOの順位を気にせざるを得ません。
しかし数字を気にすればいつまでも気の抜けない、レッドオーシャンへ我が身を投じることになります。
充実感や幸福感を持つために、競争への視点を変えていきましょう。