バタフライ構造とシザー構造の違いを解説。MacBook Proの新キーボードは、打ちやすくなったか

MacBook Proのキーボードが刷新です。
これまでのバタフライ構造から、シザー構造へ変更しました。

新しいMacBook Proを検討している人の中には、「バタフライキーボードは、もううんざり。打ちやすくなったのなら、買い替えたい」という人がいるかもしれません。

そこでこの記事では、バタフライ構造とシザー構造のMacBook Proを比較検証して、

・なぜアップルはキーボードの構造を変えたのか
・どちらのキーボードが打ちやすいか
・キーボードのために、MacBook Pro 16インチへ買い換えるべきか

を考察します。

結論から言うと、確かにかなり打ちやすくなったが、キーボードだけを理由にMacBook Proを買い換えるのは、コスパ的に微妙かな、といったところです。

今回、ぼくが購入したのは、MacBook Pro 16インチです。
こちらのマシンは、速度面でもレビューしています。

バタフライ構造とシザー構造の違いを解説。MacBook Proの新キーボードは、確かに打ちやすくなった

まず、バタフライキーボードを構造面から解説します。

また、欠点の多いバタフライ構造を、Appleはなぜ採用したのか?
この理由についても、考察します。

バタフライ構造とは

一枚構造の逆ハの字

バタフライ構造とは、蝶々の羽のように、キーの下を逆ハの字の金具が支えています。
金具がバネのように反発し、キータッチできるようになります。

従来よりキーストロークを浅くすることができ、その分、安定性が向上(Appleいわく、4倍向上)しました。

MacBook 12インチのため、バタフライ構造を採用

バタフライ構造のキーボードの登場は、2015年MacBook 12インチの発売時です。

その紹介動画の中で製品をデザインしたジョニー・アイブが、「我々はひとつの組み立てによる、堅牢なバタフライ構造を作成しました。(We created a sturdy single-assembly butterfly mechanism. )」と話しています。

つまりバタフライキーボードとは、MacBook 12インチという極薄のボディを実現するため、生み出されたものでした。

薄すぎるゆえ、キーが効かなくなる欠点があった

しかしバタフライキーボードには、致命的な欠点がありました。
薄すぎるがゆえ、隙間にホコリが溜まるとキーが効かなくなってしまうのです。

常に故障のリスクを背負うのは、いただけない

ぼくはバタフライキーボードを搭載したMacBook Pro13インチ(2017)を持っていますが、ごくたまに無反応になるキーが出てきます。

エアダスターでホコリを吹き飛ばせば、復活はします。

しかし、キーボードにトラブルがあると生産性がガタ落ちするだけに、「いつ効かなくなるか、わからない」と不安を抱えながら使うのはちょっといただけません。

リニューアルを重ねても、不具合を解消できず

当然、キーボードに関する苦情はAppleの元へ大量に届いているようで、Appleでは対象モデルの不具合に対し、販売から4年間の無償修理を受け付けています。

https://support.apple.com/ja-jp/keyboard-service-program-for-mac-notebooks

対象マシンを見ると、昨年発売した2019年モデルも入っていますね。

2015年にバタフライ構造を採用して以来、何度もキーボードのリニューアルをしたけれど、結局不具合を解消できなかったことがわかります。

最新モデルのMacBook Pro 16インチで、ようやく根本的な原因のバタフライ構造を諦めたわけです。

最終的にバタフライ構造を諦めることに

シザー構造へと戻した2019年に、MacBook 12インチが販売終了になりました。

そのときは不思議に思いましたが、バタフライ構造を諦めるなら、極薄のMacBookの継続を諦めるのも自然な流れと理解できます。

シザー構造とは

2枚構造の金具がキーを支える

2019年11月発売のMacBook Pro 16インチのキーボードは、バタフライ構造からシザー構造へ変更されました。

シザー構造とは何か?
シザーとはハサミを意味しますが、その名の通り、キーの下をハサミのような2枚構造の金具がエックス型で支えます。

下画像は、2015年春のAppleイベント“ Spring Forward”の新MacBook紹介です。

左がシザー構造、右がバタフライ構造です。
キーの浮き沈みの仕方が、全く違うのがわかります。

バタフライ構造には、他にも欠点があった

薄すぎて打ちづらい

バタフライキーボードには、他にも問題点があります。
キーの沈み込みがごく浅いため、打ちづらさを感じる人が続出したのです。

これは個人的な感覚によりますが、たしかにバタフライ構造は、一般的なキーボードに慣れていると違和感を感じます。

ネットの意見を眺めると、「指が痛くなる」「疲れる」など、過半数がネガティブなイメージを持っているようです。

打鍵の音もうるさい

あとはキーストロークが浅いためか、打鍵時に「パチパチパチ」とオハジキを弾いているような音がします。

一般的なラップトップに比べ打鍵の音が大きく、カフェなど公共の場では、ソフトタッチにするなど気を遣います。
これも、ストレスのひとつ。

すべての欠点を解消したシザーキーボード

バタフライ構造が1枚の反発力でキーを支えるのに対し、シザー構造は2枚の組み合わせでキーに弾力を持たせるイメージです。

シザー構造は、バタフライ構造に比べ安定性は劣るかもしれません。
しかしより深く沈みことで、打ちやすく、静かになり、2枚構造の深いキーストロークのためホコリにも強くなりました。

シザー構造に戻し、薄さを捨てた結果、バタフライ構造の欠点をすべて修正できたのです。

ボディの薄型化を諦めたApple

キーボードを戻した結果、当然ながら厚みは増しています。

それまでMacBook Pro 15インチの厚さが15.5ミリだったのに対し、16インチは16.2ミリ。

つまり、0.7ミリ厚くなりました。

キーストロークはそれぞれ、バタフライ構造が0.55ミリ、シザー構造が1ミリ。
その差が0.45ミリあるわけですから、0.7ミリ増加した厚みは、キーボード刷新によるトレードオフです。

実際に打鍵してみての感想は?

さて、バタフライ構造からシザー構造へ戻った経緯はわかりました。
では実際に新しいキーボードは、打ちやすくなったのでしょうか。

「普通のキーボード」に戻った

MacBook Pro 16インチを使い始めて半月ほど経ち、たしかにバタフライ構造に比べ打ちやすくなったと感じます。

打ちやすくなったというより、「普通のキーボードになった」がより正確です。

以前のバタフライ構造が、ちょっと打ちやすさの面をないがしろにしすぎていたかなと。

新しいキーボードは、バタフライ構造より反発力がそれほど強くありません。
押し込む指の力を、クッションで押し戻す感じ。

2枚のエックス型が効いていて、なおかつキーストロークが深くなったことで、自然な力加減でキーが反応します。

そのため、疲労感もバタフライ構造に比べ軽減しています。

文字を打っていて、心地よさがある

「普通のキーボードになった」と書きましたが、そこはアップルの製品です。
打っていて、表面の触り心地やキーの沈み込む感覚に、なんとも言えない心地よさはあります。

Appleは、この新しいシザー構造にそうとう神経を使ったのでしょう。

新しいキーボードは、バタフライ構造が苦手だったひとは、良い印象を持つはずです。

大きく改善した、打鍵音

もう一つの「打鍵時の音」については、圧倒的に改善しました。

バタフライ構造のような「パチパチパチ」という音はなく、無音とまでいきませんが、小さく「カチャカチャ」と鳴る感じ。

平均的な打鍵音に比べても、静かな部類のキーボードに入ると思います。

好意的に受け入れられる、新しいキーボード

打ちやすく、静かになり、疲労感も軽減した

総評として新しいシザー構造のキーボードは、バタフライ構造に比べ、より打ちやすく、静かになりました。

その結果、ボディが1ミリ弱厚くなってしまいましたが、その分、ディスプレイサイズも大きくなったわけで…。

そのことを踏まえれば、シザー構造に戻したアップルの判断は賢明と言っていいでしょう。

キーボードのために買い替えていいかは、微妙…

ただ、「キーボードだけのために買い換えるかどうか」は、ちょっと微妙です。
微妙というか、ほんとうに人によるというか。

というのも、確かに打ちやすくはなりましたが、劇的な差を感じるまでには思わないんです。

この文章はバタフライ構造を持ったMacBook Pro 13インチで書いているのですが、書くことに集中すると、キーボードの構造自体はそれほど気にならなくなります。

キーの配置に大きな変更があれば戸惑いますが、左右のカーソルキーの大きさが変わったくらいで、その他は前のまま。

同じ配置であれば、肝心のタイピングスピードに変化はないんですよね。

バタフライ構造に大きな不満がなければ、キーボードだけで買い換えるほどではない

シザー構造の利点を上げるなら、「故障の心配が減る」「打ちやすさ向上による、疲労度の軽減」と「打鍵音が静か」の3点。

これらに大きな不満がないのであれば、新しいキーボードは「あくまでも購入を検討する、ひとつの要素」と控えめに捉えておいたほうがよいかもです。

とはいえ、やはりキーボードは実際に自分の指で感じてみるのがいちばん。
この記事でよりキーボードの構造が気になった方は、実際にアップルストアで試してみましょう。