「スペースインベーダー」が進化して帰ってきた――。
遡ること半世紀、日本中を席巻した伝説のアーケードゲームがあった。その名も「スペースインベーダー」。懐かしさを感じる人も多いだろう。
そんなインベーダーが、Appleの「Apple Arcade」で蘇った。ただの復刻版ではなく、時代に合わせ進化した「新しい体験」として。
この記事では伝説のゲーム・スペースインベーダーの歴史をざっと振り返りつつ、Apple Arcadeの「スペースインベーダー インフィニティジーン エボルブ」を実際にプレイしてみた感想を紹介する。
インベーダーに熱狂した、あの時代
今でこそ日本はプレイステーションやNintendo Switchなど、多数の家庭用ゲーム機や人気ソフトを出していることで有名だ。もちろんこれらは突如、生まれたわけではない。ゲームには、ゲームの歴史がある。
日本で誕生したゲームといえば、「ゼビウス」「パックマン」「ギャラクシアン」などが挙げられる。いずれも1970年後半から1980年初頭に、アーケードゲームとして誕生した。
それらは名作として今も語り継がれ、後世のゲームへ影響を与えている。
その中でも特に注目すべき存在が、1978年に登場したタイトー「スペースインベーダー」である。
喫茶店のテーブルがインベーダーに次々、置き換わる
ゲーム内容は自軍にいる自機を操り、空中に行儀良く並んでいるインベーダーたちを撃墜するというもの。今のゲームと比べるとシンプル極まりないが、当時は社会現象になるほど大ヒットを記録した。
ぼく自身は1973年生まれなので、リアルタイムでの熱狂ぶりは残念ながら記憶にない。
しかし喫茶店のテーブルが次々インベーダーを遊べるテーブルタイプの筐体に置き換わり、100円玉を積んだ大人たちが席を占領したエピソードをよく耳にした。
一説によると、当時のインベーダーの筐体は約46万円。喫茶店にすれば思い切った投資といえるが、それでも絶えず稼働するため一台で1日に2~3万円を稼ぐことができ、1ヶ月で元が取れたという。
その熱狂ぶりがよく分かるエピソードである。
スペースインベーダーの革新性
スペースインベーダーの何が、そこまで人々を熱狂させたのだろうか。
それまでにもシューティングゲームは存在したが、それらは敵が攻撃してこないものばかりだった。 そこに現れたのが、「敵が迫ってきて、攻撃までしてくる」スペースインベーダーだった。
発売前は「難しすぎる」と、タイトー社内で難色を示す人が多かったという。それが、予想を大きく裏切り大ヒットを記録。難易度を上げたことで、「攻略してやろう」と逆にプレイヤーを熱中させたのだった。
それまでただの「遊び」だったゲームが、インベーダーから地球を守る「戦い」へと変わったエポックメイキングな作品といえよう。
令和に登場した「進化系インベーダー」
そんなスペースインベーダーの最新版が、2025年4月にApple Arcadeでリリースされた「スペースインベーダー インフィニティジーン エボルブ」だ。
2008年にガラケー向けに登場した「スペースインベーダー インフィニティジーン」が元となっており、その後はPS3やXboxにも展開している。
今回の「エボルブ」は、それをベースにした完全リニューアル版である。
提供されているプラットホームのApple Arcade(アップルアーケード)は、月額900円で200本以上のゲームを楽しめるアップルのサブスクリプションサービスだ。
広告なし、追加課金なしで安心してプレイでき、新規ユーザーは1ヶ月の無料体験も可能となっている。
「スペースインベーダー インフィニティジーン エボルブ」を実際にプレイ
Apple Arcadeは、アップルの4サービスがセットとなったApple Oneでも楽しめる。ぼくはApple Oneに加入しているので、早速ダウンロードしてプレイしてみた。
Apple Oneについては、以下の記事で詳しく解説している。合わせて参照にしてみてほしい。
>> 【Apple Oneとは?】4サービスお得セットの無料期間と解約
ゲームを開始して最初に現れるのは、昔ながらのモノクロのインベーダーゲームだった。
「懐かしいな~、でもただの復刻版なのか……」と思った次の瞬間、ステージが縦スクロールのシューティングゲームへ切り替わった。
タッチ操作でも快適にプレイできる
色味こそモノクロがベースでオリジナルのスペースインベーダーを彷彿とさせるが、軽快な音楽とともに画面上を縦横無尽にプレイするその姿はまったく別物。
iPadでプレイしてみたが、心配だったのは操作性だ。「タッチ操作で上手くプレイできるかな」と思ったが、弾は自動で発射されるし、自機の移動は画面上を指でスライドするだけとシンプル。まったくストレスなくプレイすることができた。

オリジナルのスペースインベーダーさながらに、UFOも出現する。UFOは最新版でもキーとなる敵機となっており、撃墜するとアイテムを放出する。それらを集めることで、自機をパワーアップさせることができる。

連続で敵機を倒すと「チェイン」としてカウントされ、ステージをクリアするごとに戦績として評価がつく。それらをもとにステージ追加や新しい種類の機体が解放される仕組みになっている。

単純にステージを進めるだけでなく、攻略の要素や実機のコレクションも楽しめる。飽きない仕掛けがいくつも用意されているのだ。
ステージ数は160以上、自機のパターンは100種類以上
3時間ほどのプレイ時間で、5-2のステージまで進めることができた。ゲームバランスがよく、シューティングが苦手な人でも時間を掛ければ進めていけるだろう。
実際にぼく自身、それほどシューティングが得意ではないが、詰まることなくサクサク進めることができた。
かといって簡単すぎるわけでない。オリジナルのスペースインベーダーが難易度を上げることでヒットしたように、このゲームもまた気を緩めると自機が破壊される心地よい緊張感がある。
ステージ数は160以上、追加される自機のパターンも100種類以上が用意されている。
ステージ3までは2Dだった画面が、4、5と進むにつれて、3Dへと徐々に変化してきている。タイトーのサイトによると、ゲームを進めるうちステージが3Dへ変化するようだ。
まるでこのゲーム自体が、ゲームの歴史を追体験するような構成になっているのだ。

まとめ
「Apple Arcadeで、インベーダーが遊べるの?」と試しにダウンロードしてみた「スペースインベーダー インフィニティジーン エボルブ」。想像以上に、完成度の高いゲームだった。スマホ(タブレット)のゲームといえど、まったく侮れない。
かつての大人たちが喫茶店で100円玉を積み上げ、夢中になっていたスペースインベーダー。その進化版を令和の今は、スマホやタブレットで手軽に楽しめるのだ。
なんだか懐かしい気分とともに、エモさも感じてしまった。
Apple Arcadeは、新規登録に1ヶ月の無料体験がついている。昔、スペースインベーダーにハマった人はもちろん、iPhoneやiPadで手軽に楽しめるゲームを探している人は試しにやってみてほしい。
ただしインベーダーの侵略を食い止めることと引き換えに、多大な時間が吸い込まれることが予想される。注意が必要だ。