お金は誰にとっても有限なものです。
有限なものであるからこそ、自分にとって価値あるものに使いたいですね。
ところが我々人間は不思議なことに必要でなかったり、本当は欲しくないものにお金を使ってしまいます。
この行動が起こる原因の一つは、「他人が持っているものを無意識に欲しがる」習性から生まれています。
この習性を自覚すれば、無駄な消費を抑えられます。
この記事では拙著『ものを手放そう』から一部分を抜粋・編集し、人のものを欲しくならないようにする方法を紹介します。
「この世に自分一人しかいなくても、それを選ぶか」と想像する
ぼくたち人間は、人が持っているものを欲しがる習性がある。それは無意識に周りと自分とを比べ、「同レベルになろう」とするからだろう。
しかし他人が持っているものは本来、自分が欲しいものではないため、手に入れたあとに要らなくなることが多い。
そのため「他人が持っているものを欲しがらない」は、無駄なものを買わないコツの一つとなる。
といっても他人を羨ましく思うのは、人間が持つ習性だ。それに抗うのは難しいかもしれない。
そこで他人が持っているものを見て「欲しい」と感じたら、こう考えてみてほしい。「もしこの世に自分一人だけしかいなくても、それを欲しいと思うだろうか」と。
一人きりの世界ではブランド品は意味をなさない
ウィル・スミス主演の映画に『アイ・アム・レジェンド』がある。突然変異のウィルスにより世界中の人々がゾンビ化し、免疫を持っている主人公だけが人間のままニューヨークで生き残るという内容だ。
ゾンビ化した人間は暗闇でしか活動できないので、昼間は基本的に安全となっている。そのためウィル・スミス扮する主人公は、昼間は廃墟と化したニューヨークを自由に歩き回る。
誰もいないスーパーマーケットで食料を調達し、運動不足解消のため無人のジムで運動をし、マンハッタンへ向けてゴルフの打ちっぱなしをする。
この映画のように「この世に自分一人しかいない」という状況になると、人の目を気にすることがなくなる。無人島に一人で漂流したようなものである。
ゴーストタウンとなったニューヨークの5番街には、高級ブティックが立ち並んでいる。
社会が正常に機能していたときは、高級な洋服を身につけてることが財力の象徴の一つだった。しかし映画の中では店員も警備員もいないので、どんなに高級な商品も自由に持ち帰ることができる。
突然そのような状況に置かれたら、最初のうちは欲しくて買えなかった高級な洋服を何着も手にするかもしれない。それらを家に持ち帰って鏡の前で着替えてみて、欲しい商品を手に入れた満足感に浸るかもしれない。
しかしブランドのロゴの入った服を着ても、それを見てくれる人はもはや存在しない。最初こそ高級な衣服を身につけるかもしれないが、しばらくすれば値段に関係なく、動きやすく着心地の良い服ばかり着るようになるだろう。
ブランドものの洋服や装飾品は、それを見てくれる人がいて初めて魅力を発揮するのだ。
人の目が一切なくなった世界では、財力をアピールする必要がなくなる。そのため高価なブランドの服は、意味を持たなくなる。
何かのきっかけで「欲しい」と商品に対して欲求が高まったときは、「もしこの世に自分しかいなかったら、それでもこれを欲しいと思うか?」と思考実験してみよう。
本当に好きだから欲しいのか、それとも周りの影響で一時的に欲求が発生しているだけなのか。その答えがわかるはずだ。