いまや高性能スマホを、一人一台が持つ時代。
スマホは電話ではなく、小型のコンピュータです。
一台で写真を撮ったりネットを見たりと、パソコンと遜色ないくらい一通りのことができます。
だからといって、「パソコンなし・スマホのみ」は、仕事上のデメリットが多いです。
そこでこの記事では、「仕事ではスマホよりパソコンが必要な理由」を解説します。
スマホよりパソコンが必要な理由【仕事の量と質で差がつく】
まずスマホとパソコンの、それぞれの歴史を振り返ります。
スマホとパソコンなら、歴史は断然パソコンが古いです。
大型で高額だったコンピュータがパソコンとして家庭に普及したのは、Apple社のApple Ⅱがきっかけです。
Apple Ⅱの誕生は1976年。
その頃から現在まで性能は格段に進歩していますが、「ディスプレイ+物理キーボード」の基本的な形は変わっていません。
スマホの普及率は83%
一方、スマホが世界に普及したのは、iPhone3Gからです。
iPhone3Gの誕生は2008年と、パソコンの普及から30年以上遅いです。
登場が遅かったにせよ、スマホはパソコン以上の速さで、一気に世の中へ浸透しました。
いまやスマホがないと生活が成り立たないほど。
2019年の調査では、スマホの普及力は約83%です(総務省「情報通信機器の保有状況」より)。
赤ちゃんもお年寄りも入れての割合なので、非常に高いですね。
一方、パソコンは未だほとんどの会社で使われていますし、個人の所有率も70%近くあります。
スマホと同じように、パソコンもまた欠かせないツールとして多くの人が使っているのです。
スマホが普及した理由
スマホが、これほど短期間で普及した理由は何か。
理由には、以下の3つがあります。
- 携帯性に優れている
- 常時ネット接続している
- 操作が簡単
1. 携帯性に優れている
パソコンはノートタイプでもそれなりに重量があり、場所も取ります。
その点、スマホは、手のひらに収まる小さなサイズです。
上着やズボンのポケットに、難なく入ります。
屋外でも必要なときすぐ取り出せて、起動も速い。
パソコンを机の上に置いて画面を開いている間に、片手で使えるスマホはどんどん先へ進めます。
この携帯性の高さが、スマホの良い点のひとつです。
2. 常時ネット接続している
パソコンをネット接続するには、Wi-Fiもしくはテザリングでの接続が必要です(一部例外あり)。
そのためパソコンを起動しネットにつなげるには、その都度、手間やタイムラグが生じます。
それに引き換えスマホはSIMカードを入れることで、契約している携帯会社の電波をとらえ常時接続します。
パソコンでその都度、接続する手間と比べると、スマホはスピーディーに使えます。
3. 操作が簡単
おそらくまったく使い方を知らない人がパソコンを前にすると、電源を入れるのも難しいと思います。
キーボードのボタンが多いため、「何をすればどうなるのか」がすぐにわからないのです。
またデスクトップやフォルダ、データ、アプリといった概念をある程度理解しないと、パソコンは自由に使えません。
その点、スマホは簡単です。
最近のスマホはホームボタンすらないため、ディスプレイをタッチするだけで起動します。
操作はすべてアプリの起動から始まるものの、「カメラ」「メモ」などわかりやすく書いてあるため、使いながら覚えていけます。
未就学の幼児にパソコンを与えても使いこなせないでしょうが、スマホはどんどん使えるようになるでしょう。
パソコンに比べると、スマホは操作が圧倒的に簡単なのです。
スマホのデメリット
つまりスマホのメリットは、その使いやすさにあります。
スマホと比べるとどうしてもパソコンはとっつきにくく感じ、ますます「パソコンが苦手」「パソコンは嫌い」と公言する人が増えている印象です。
そんなユーザの心理を理解して、スマホのOSやアプリも進化しています。
「パソコンじゃないとできない」といったことは、かなり少なくなってきてはいます。
しかしいくらスマホでやれることが増えたとしても、パソコンと比べれば生産性に差がありすぎます。
パソコンを毛嫌いして避けていると、アウトプットの量と質に大きな差が出てしまいます。
生産性の面で、スマホのデメリットは以下の3つです。
- 画面が小さい
- マルチタスクが苦手
- 使えないアプリがある
1. 画面が小さい
最大の欠点は、画面の小ささです。
スマホの生産性を上げるために、外部キーボードやマウスを使う人もいると思います。
それらで多少、出力スピードはアップするかもしれませんが、ディスプレイのサイズはどうあがいてもそのまま。
例えば執筆するにしても、長文は閲覧性が悪くて完成度が低くなります。
動画の編集も、大きな画面のパソコンのほうが格段に作業が速いでしょう。
何より小さな画面で作業すると、目が疲れます。
スマホで難なく作業できるのは、メールやメッセの返信、ブラウザでの検索くらい。
メインの作業環境として使うのは、生産性の観点でありえません。
2. マルチタスクが苦手
ひとつのアプリだけで、作業を完結するのは稀です。
例えばこの記事を書くにせよ、構成を作るのにXMindを使い、ネットで資料を検索して書いています。
パソコンは画面が広いため、こうして複数のアプリを起動しての作業を簡単に行えます。
一方、スマホはフリックだけでアプリの切り替えができるなど、マルチタスクが簡単にできるようになってはきていますが、パソコンに比べると「切り替えができる」域をこえません。
「複数のアプリを並行して自由に使える」というレベルには、程遠いのです。
3. 使えないアプリがある
プロのクリエイターが制作に使用するアプリには、IllustratorやPremiere Proなどがあります。
これらは、スマホに対応していません。
今後、対応したとしても、おそらくパソコン版に比べ機能的に限定したものになるでしょう。
スマホでもデザインや動画編集などできますが、それらは「できることはできる」といった簡易版です。
プロがクライアントに納品するクオリティを出すには、高機能なソフトの使えるパソコンが必要なのです。
パソコンが必要な理由
これらスマホのデメリットを、パソコンはすべてフォローできます。
パソコンは大きなディスプレイと、文章を高速に入力できるキーボードの存在が大きいです。
TwitterやInstagramなど、SNSに投稿するだけならスマホで十分。
また管理職であれば、部下への指示や資料の確認など、スマホだけで仕事を回せるかもしれません。
しかしコンテンツを制作するなら、パソコンを使わないとスピードとクオリティで大きく差がつきます。
クリエイターだけでなく、日常の業務でパソコンは必須
これはデザイナーやフォトグラファーといった、クリエイターだけに限りません。
文書やプレゼン資料の作成、表計算など、一般的な仕事でもパソコンを日常的に使います。
スマホしか使えないとコンテンツの作成だけでなく、そういった事務処理がまったくできない事態におちいってしまいます。
スマホだけでなくパソコンも使えるように
パソコンが必要といっても、「高性能パソコンがあれば、スマホは数世代前の格安で良い」というわけではありません。
スマホは屋外でもスピーディに連絡したり、調べ物したりするのに重宝します。
その際に処理がモタモタする低性能のスマホだと、ストレスがたまります。
また出先であれば、スマホからのテザリングでパソコンを使うこともあるでしょう。
「スマホだけ」「パソコンだけ」とならず、両方の良い面を生かしていくのが大切です。
おそらく今後、「スマホしか使えない」といった人の割合が増えるのではと思います。
そうなれば、パソコンを過不足なく使えるだけで差別化になります。
とっつきにくいからとパソコンを敬遠せず、両方を使いこなしていきたいですね。