Apple Watchを買う際、「セルラーとGPSのどちらにしよう?」と一度は考えると思います。
どちらもメリット・デメリットがあり、ライフスタイルや価値観によって選択は変わってきます。
この記事では、Apple WatchセルラーとGPSモデルの違いと、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
Apple WatchセルラーとGPSモデルの比較
Apple Watchとは、2015年4月24日にAppleが発売スタートしたスマートウォッチです。
iPhoneとペアリングして使うことを前提としており、メッセやリマインダーの通知のほか、歩数・心拍数の計測などヘルスケアにも有用です。
series 1とseries 2はGPSモデルのみでしたが、2017年9月22日発売のseries 3から、セルラーモデルが登場。
Apple Watch単独でモバイル通信できるようになり、利便性が高まりました。
セルラーとGPSの主な違い
セルラーモデルとGPSモデルでは、何が違うのか。ざっくり紹介すると、以下のような感じです。
- 単独でモバイル通信できるかどうか
- ケースのステンレススチールを使えるかどうか
- 価格
何といっても大きな違いは、「iPhoneなしでモバイル通信できるかどうか」です。
セルラーモデルは携帯会社と契約を結ぶことで、Apple Watchのみでモバイル回線へ接続できます。
Apple Watch単独で通話やメッセしたり、ストリーミングで音楽を聴いたりと、GPSモデルに比べ自由度が高いです。
メリットもデメリットもある
ただし良い面だけでなく、セルラーモデルにはデメリットもあります。
では以下から、セルラーモデル・GPSモデルそれぞれのメリットとデメリットを解説していきます。
セルラーモデルのメリット
セルラーモデルは、通信機能を備えています。iPhoneとBluetooth接続せずとも、単独でモバイル接続できるのが最大の特徴です。
メリットは以下7つ。順に解説します。
- 通話とメッセを単独で受信
- 緊急時にアクセス可能
- 単独でストリーミング再生
- Suicaにチャージ可能
- データ通信が必要なアプリを使える
- ステンレススチールを選べる
- iPhoneの充電がなくなっても使える
1. 通話とメッセを単独で送受信
セルラーモデルは、iPhoneを持っていなくてもApple Watchだけで通話できます。
LINEやiMessageの受信や、音声入力を使ってのテキスト送信もOK。
iPhoneを家に置いて散歩やジョギングしても、連絡を取れるので便利です。
2. 緊急時にアクセス可能
Apple Watchには、緊急通報サービスという機能が付いています。激しく転倒し1分間以上、動作がない場合に、119などへ自動連絡される機能です。
この機能はセルラーだけでなく、GPSモデルにも搭載されています。ただしGPSモデルは、近くにiPhoneがあるかWi-Fi接続(※)していなければ作動しません。
※ GPSモデルは、単独でWi-Fi接続が可能です。
Apple公式サイト >> Apple Watch の Bluetooth、Wi-Fi、モバイルデータ通信について
セルラーは安心度が高い
その点、セルラーモデルはiPhoneがなくとも、単独で緊急通報サービスが起動します。
「もしも」の場合を想定すれば、セルラーモデルの方がより安心感があります。
3. 単独でストリーミング再生
Apple Watchのセルラーモデルは、単独で音楽のストリーミング再生が可能です。対応しているサービスは、以下の通り。
- Apple Music
- Spotify(有料プラン)
- Amazon Music
- AWA
特にジョギング中は、iPhoneなしの身軽な状態で出かけたいですね。
セルラーモデルであれば、Apple WatchとBluetoothイヤホンだけで音楽を聴きながらジョグできます。
4. Suicaにチャージ可能
Apple Watchは、電子マネーの支払いが可能です。セルラーモデルだけでなく、GPSモデルもOK。
対応している電子マネーは、以下の通りです。
- Suica
- PASMO
- iD
- QUICPay
- nanaco
- WAON
iPhoneなしでも支払いできるものの、Suicaへのチャージはオンラインになっている必要があります。
セルラーモデルは単独でSuicaへチャージできるため、GPSモデルより利便性が高いです。
5. データ通信が必要なアプリを使える
Apple Watchには、天気やマップなどデータ通信を必要とするアプリがあります。
GPSモデルはiPhoneが近くにあるかWi-Fi接続していないと確認できませんが、セルラーモデルは単独でOK。
Apple Watchだけで外へ出かけても、天気やマップの確認が可能です。
6. ステンレススチールを選べる
Apple Watchのケースには、以下の3種類あります。
- アルミニウム
- ステンレススチール
- チタニウム
どのモデルも3種類から自由に選べるわけでなく、モデルによって選択肢が限られています。
GPSモデルはアルミニウムのみ
Series 9のセルラーモデルは、アルミニウムもステンレススチールも選べます。
一方、GPSモデルの選択肢は、アルミニウムのみ。またチタニウムを選べるのは、Ultra 2だけです。
ケースにステンレススチールを使用したいなら、Series 9のセルラーモデルを選ぶ必要があります。
以下の表に、選べるケースの種類をまとめました。
Series 9 (セルラー) | Series 9 (GPS) | SE | Ultra 2 | |
---|---|---|---|---|
アルミニウム | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | – |
ステンレススチール | ⚪︎ | – | – | – |
チタニウム | – | – | – | ⚪︎ |
前面ガラスにも差がある
さらに前面ガラスの素材にも、違いがあります。
アルミニウムケースはIon-X前面ガラス、ステンレススチールとチタニウムは、より強度の強いサファイア前面クリスタルを採用しています。
アルミニウム | ステンレススチール | チタニウム | |
---|---|---|---|
Ion-X前面ガラス | ⚪︎ | – | – |
サファイア前面クリスタル | – | ⚪︎ | ⚪︎ |
平たくいえばセルラーモデルにはケースの選択肢があり、前面ガラスもより良いものを使えます。
ケース別の価格表
ちなみにモデル別のケースの価格は、以下の通りです。
Series 9 (セルラー) | Series 9 (GPS) | SE (セルラー) | SE (GPS) | Ultra 2 (セルラーのみ) | |
---|---|---|---|---|---|
アルミニウム | 75,800円〜 | 59,800円〜 | 42,800円〜 | 34,800円〜 | – |
ステンレススチール | 117,800円〜 | – | – | – | – |
チタニウム | – | – | – | – | 128,800円〜 |
価格は高くなるものの、より高級感ある材質を使いたい場合は、Series 9のセルラーかUltra 2を選択しましょう。
携帯会社と契約しない手もある
「ステンレススチールにしたいが、携帯会社に月額料を払いたくない」そんなときはセルラーモデルを購入しても、携帯会社と契約しない手があります。
携帯会社との契約は、絶対ではありません。
単独での通信はできないですが、GPSモデルと同じようにiPhoneとのBluetooth接続のみで使えば、ランニングコストを掛けずにステンレススチールのケースを使えます。
7. iPhoneの充電がなくなっても使える
スマホ使用時に気になるのが、バッテリー残量です。特にキャンプやフェスなど野外の場合は、バッテリーが不安になりますね。
Apple WatchのGPSモデルは、iPhoneのバッテリー切れと同時にモバイル接続できなくなります。一方、セルラーモデルは単独でも繋がります。
できることは限られるものの、iPhoneがバッテリー切れでも通話やメッセのやり取りをできるので、安心感があります。
セルラーモデルのデメリット
セルラーモデルのメリットは、単独でモバイル回線に接続できることです。そのメリットは、裏返せばデメリットにもなります。
セルラーモデルのデメリットをまとめると、以下5点です。
1. 価格が高い
セルラーモデルはGPSモデルに比べ、Apple Watch本体の価格が高いです。価格差は、以下の通り。
Series 9 | SE | |
---|---|---|
セルラーモデル | 75,800円〜 | 42,800円〜 |
GPSモデル | 59,800円〜 | 34,800円〜 |
価格差 | 16,000円〜 | 8,000円〜 |
Series 9は16,000円〜、SEは8,000円〜の価格差が発生します。
またセルラーモデルは本体が高いだけでなく、月額の通信料も発生します。
「それだけの価格差でも、Apple Watchにモバイル回線が必要か?」が購入の判断基準になりますね。
2. 通信料がかかる
モバイル回線を使用するだけに、セルラーモデルは月額の通信料が掛かります。
Apple Watchのセルラーモデルに対応している携帯会社は限られており、選択肢は以下4つとなります。
キャリアによって、月額料にバラつきがありますね。ちなみにドコモは、サブブランドのahamoでも登録が可能です。
3. 携帯会社を自由に選べない
携帯会社の選択には、もう一つ縛りがあります。iPhoneと同じ会社にする必要があるのです。
「iPhoneでdocomoを使っているが、Apple Watchは月額料の安いauに」など、iPhoneとApple Watchを別々の携帯会社にすることはできません。
Apple Watchの月額料が携帯会社によってバラつきがあるだけに、この制約はちょっと厳しいですね。
4. 格安SIMが使えない
前述の通りApple Watchの携帯会社は、「ソフトバンク・au・docomo・楽天モバイル」に限られています。しかもiPhoneと、携帯会社を揃えなくてはなりません。
そのため必然的に、iPhoneに格安SIMが使えません。
それまでiPhoneにmineoやIIJmioなど格安SIMを使っていても、Apple Watchのセルラーモデルのため4キャリアへ乗り換える必要があります。
5. バッテリー持ちが悪い
アップル公式からはアナウンスされていませんが、セルラーモデルはGPSモデルよりバッテリー持ちが悪くなります。
常にiPhoneとBluetooth接続するなら、どちらも変わりません。セルラーモデルをLET接続すると、電波を探す分だけバッテリーを多く消費します。
セルラーモデルを単独でよく使うなら、バッテリー持ちの低下も想定しておいた方が良いです。
GPSモデルのメリット
続いて、GPSモデルのメリットを見ていきます。単独でモバイル回線へ接続できないGPSモデルは、価格の安さが一番の特徴です。
1. 本体価格が安い
モバイルの通信機能を持たないGPSモデルは、セルラーモデルに比べ価格が安いです。先ほど掲載した価格表を、もう一度出します。
Series 9 | SE | |
---|---|---|
セルラーモデル | 75,800円〜 | 42,800円〜 |
GPSモデル | 59,800円〜 | 34,800円〜 |
価格差 | 16,000円〜 | 8,000円〜 |
Series 9は16,000円、SEでは8,000円、セルラーモデルより安いです。
円安の影響で、近年アップル製品の価格が上昇しています。Series 9のセルラーモデルは、7万オーバーと高額。
価格の安いGPSモデルは、それだけでメリットがあるといえますね。
2. ランニングコストが掛からない
セルラーモデルはモバイル通信を使用するので、月額の回線使用料が発生します。こちらも先ほどの表を再掲します。
安いプランでも月額385円。しかも4キャリアの縛りがあるので、iPhoneに格安SIMを使えません。
セルラーモデルを選択すると、必然的にランニングコストが発生します。
一方、GPSモデルは、最初の購入費用のみ。その後は充電時の電気代以外、料金が掛かりません。
3. バッテリーが長く持つ
モバイルの通信機能のないGPSモデルは、セルラーに比べバッテリー消費を抑えられます。
Series 9とSEのバッテリー持続時間は、18時間です。世代を重ねるごとに長くなっていますが、それでも丸一日は持ちません。
少しでもバッテリー持ちの良いGPSモデルは、多少なりとも長く使えるメリットがあります。
GPSモデルのデメリット
価格の安いGPSモデルですが、もちろんセルラーに比べデメリットもあります。以下3つです。
1. iPhoneがないと通信できない
GPSモデルはiPhoneとBluetooth接続するかWi-Fi接続することで、ネット回線を利用できます。
そのためiPhoneなしで外出すると、モバイル回線に繋がりません。
特にジョギングなどスマホを持たないとき、GPSモデルは多少の不便さを感じますね。
2. ストリーミング再生できない
GPSモデルは単独でモバイル通信できないため、音楽のストリーミング再生ができません。
何度も例を出しますが、ジョギング中にApple Watchだけで音楽を聴きたい場合など、制約が出てきます。
ダウンロードで単独の再生可能
ちなみにGPSモデルもApple Watchへ曲をダウンロードすれば、Apple Watch単独で音楽を楽しめます。
以下の記事にやり方を詳しく書いているので、参考にしてみてください。
>> iPhoneなしApple Watchだけで音楽を聴く【GPSモデルOK】
3. Suicaのチャージが単独でできない
GPSモデルはiPhoneがなくとも、電子マネーを使えます。使用できる電子マネーを再掲します。
- Suica
- PASMO
- iD
- QUICPay
- nanaco
- WAON
これらはオフライン時にも決済できますが、Suicaへのチャージはオンラインの必要があります。
iPhoneが充電切れになったら、Apple WatchをWi-Fi接続しないとチャージ不可。
Suicaをよく利用する人は、「セルラーモデルにすれば良かった」と思う機会があるかもしれません。
どちらを選ぶべきか?
ここまでセルラーモデルとGPSモデルの、メリット・デメリットを見てきました。
それらを踏まえた上で、それぞれのモデルに向いている人を整理します。
セルラーモデルに向いている人
iPhoneなしでよく出かける人
最も向いているのは毎朝、ジョギングをするなど、iPhoneなしで外へ出かける機会の多い人です。
Apple Watchのセルラーモデルがあれば、iPhoneなしでも通話やメッセ、調べ物、天気、マップ、ストリーミング再生など、できることがたくさんあります。
緊急時に高い安全性が欲しい人
さらに常時モバイル回線に繋がっていれば、緊急時にiPhoneなしでも連絡が可能です。転倒した際も緊急連絡してくれます。
より安全な毎日を送りたい人にも、セルラーモデルは「転ばぬ先の杖」になります。
高級な材質のApple Watchを使いたい人
Series 9の場合、セルラーモデルはより高級な材質のApple Watchを使えます。
ケースに、ステンレススチールが選択可能。ステンレススチールの前面ガラスは、より強度の高いサファイア前面クリスタルです。
高級感あるApple Watchを使いたいなら、セルラーモデルがオススメです。
GPSモデルに向いている人
絶えずiPhoneを持ち歩く人
どこへ行くにも必ずiPhoneを持ち歩くなら、GPSモデルでOKです。
Apple Watch単独でモバイル回線につながる機会がないので、セルラーモデルは不要。本体価格が安く月額料も掛からない、GPSモデルを選んだ方がコスパ高いです。
モバイル回線が必要なアプリを使わない人
GPSモデルはモバイル回線につながらなくても、使える機能がたくさんあります。
カレンダーやリマインダーの通知、電子マネーの決済、フィットネスの計測…。ダウンロードすれば音楽も聴けます。
モバイル回線で天気やマップが使えるようになりますが、それらが不要ならセルラーモデルはいりません。
ちなみにApple Watchには、GPSモデルでも自動計測するヘルスケア機能がたくさんあります。
以下の記事にまとめているので、合わせて参考にしてみてください。
>> Apple Watchのヘルスケア機能7選【着けるだけで自動計測】
より安い価格でApple Watchを使いたい人
お金を掛ければ高機能になるのは、いわば当たり前の話です。
誰しもお金を無限に持てるわけではないので、「Apple Watchに月額料はかけたくない」「本体代はなるべく安く済ませたい」ならGPSモデルが良いです。
少しでも長くバッテリーを持たせたい人
セルラーモデルはLET回線を探す際に、バッテリーを多く消費します。
一方、通信機能のないGPSモデルは、LET回線を探す機会がそもそもありません。その分、セルラーモデルに比べ、バッテリー持ちが良いです。
少しでもバッテリー持ちに優れたモデルが欲しいなら、GPSモデルが良いですね。
まとめ
以上、Apple WatchのセルラーモデルとGPSモデルの違いの解説でした。
それぞれのメリット・デメリットは、以下の項目にまとめています。
セルラーモデルは単独でモバイル回線につながるため、より自由度が高いです。ただし本体価格が高くなり、月額料の掛かるのがネック。
その点、GPSモデルはiPhoneのBluetooth接続が必要なものの、価格が安くランニングコストも掛かりません。
使う人のライフスタイルや価値観によって、どちらを選ぶかは変わってきます。自分に最適と思えるモデルを選んでみてください。