はたして、価格に見合う価値はあるか。
PFUのHappy Hacking Keyboard(以下、HHKB)を購入しました。3万円オーバーの高級キーボードです。プロ向けといって良いでしょう。
といっても今やどんな職業でもパソコンを使うので、社会人のほぼ全員がキーボードを必要とします。キーボードは生産性に直結するので、ある程度はこだわりたいですね。
この記事では、HHKB Professional HYBRID Type-Sをレビューをします。
HHKB Professional HYBRID Type-Sのレビュー
HHKBとは、石川県に本社を持つPFUが製造・販売しているキーボードです。
キーを底まで押し込まなくても、ごく浅く押下しただけで認識します(静電容量無接点方式を採用)。
スプリングでキーをしなやかに反発させており、キータッチの軽さも特徴です。
プログラマーやライターなど、多量の文字を入力する人に支持されているプロ向けのキーボードです。
HHKBのラインナップは3つ
HHKBのラインナップは、大きく以下3つあります。
違いは、「Bluetooth接続できるかどうか」と「静寂性が高いかどうか」の2点です。
HYBRID Type-S
最も高スペックは、HHKB Professional HYBRID Type-Sです。
接続に有線かBluetoothかを選択でき、キータッチの音が他の2種に比べ30%静かです(メーカー発表)。その分、価格は最も高額です。
Professional HYBRID
次にスペックの高いのは、HHKB Professional HYBRIDです。
こちらも接続に有線かBluetoothかを選べますが、打鍵音がType-Sより大きいです。価格は3種の間を取っています。
Professional Classic
最もスペックの低いのは、HHKB Professional Classicです。
こちらは有線接続のみで、Type-Sに比べ打鍵音も大きいです。日本語配列はなく、英語配列のみ。価格は3種のなかで最も低価格です。
購入したのはHHKB Professional HYBRID Type-S
この中で購入したのは、最上機種のHHKB Professional HYBRID Type-S(日本語配列)です。
HHKBを使うのは、これが初めてではありません。2014年〜2017年にかけて、HHKB Professional Classic(日本語配列:現在は廃盤)を使用していました。
改めて購入するにあたり、「せっかく買うなら」と静寂性の高いType-Sを選択。
以前使っていたHHKB Professional Classicに比べると、確かに打鍵音は小さくなったように感じます。
HHKBの5つの良い点
今回、改めて使ってみて、HHKBの良い点を考えてみました。以下、5つあります。
1. 独特な心地よさがある
特にMacを使っている人は、マジックキーボードなどキーストロークの浅い、いわゆる「ペチペチ系」のキーボードに慣れていると思います。
それらに比べるとHHKBは、打鍵のストロークが深いです。キーの沈み込みが軽やかで、ほんの数ミリ指を沈めただけで入力が認識されます。
軽やかながらキーに適度な反発力があり、それが打っていてリズムを生み出します。独特の心地よさがあるのです。
意味もなく文字を打ちたくなる
静かになったとはいえ、「サクサクサク」と独特の打鍵音は健在です。
HHKBは中毒性がある、不思議なキーボードです。気に入った人は、意味もなく文字を打ちたくなると思います。
2. キー配列がよく考えられている

HHKBはコントロールキーとCapsLockの位置が、通常とは逆です。
しかしどちらのキーをよく使うかといえば、それは断然コントロールキー。コントロールキーがシフトキーの上にあるため、ホームポジションのまま左小指で楽に入力が可能です。
コントロールキーの打ちやすいHHKBの配列は、理にかなっています。
オリジナルのショートカットキー
他にもFnキーの組み合わせで、いろいろな操作ができます。
例えば、左下のFnキーを押しながら「@」「;」「:」「/」を入力すると、それぞれ「↑」「←」「→」「↓」とカーソル移動が可能。
Fnキーを押しながら「a」で音量ダウン、「s」で音量アップ、「d」でミュートできます。
こういったショートカットを覚えると、キーポジションから手を離さず高速に操作できます。
キーを打ちやすい細かい配慮

キーが、若干内側に向いているのも特徴です。キーボード奥に収納型の小さなスタンドがあり、3段階に高さを変えられます。
さすが価格の高いキーボードだけあり、少しでも打ちやすくなるよう細かく配慮されています。
3. 耐久性が高い
HHKBは耐久性の高さも特徴です。PFUの発表によると、3000万回以上の打鍵に耐えうるとのこと。
耐久性に関しては、Bluetooth接続で使用するバッテリーにもこだわりがあります。
通常のBluetoothキーボードは、充電式のリチウムイオン電池を使用します。リチウムイオン電池は充電できて便利ですが、繰り返し使うと劣化します。
そのためBluetoothキーボードは、本体よりバッテリーの寿命で使えなくなるのです。
HHKBはそれを回避するため、Bluetooth接続に単三電池2本を使用しています。電池は交換可能なため、内蔵バッテリー劣化の心配は無用です。
キートップの文字が剥げない工夫
さらにキートップの印字はプリントではなく、樹脂にインクを浸透させています(サブリメーション印刷といいます)。
キーをたくさん打っても、キートップの文字が剥げてしまう心配がありません。
こういった工夫で、長期間に使えるよう配慮がなされています。
確かに価格は高いものの、それこそ5年・10年と使い続けられるなら、他のキーボードに比べむしろ安いといえますね。
4. ミニマムなデザインが良い

HHKBには、ファンクションキーがありません。ファンクションキーは、Fnキーを押しながら数字キーを打つことで機能します。
ファンクションキーのない分、筐体をコンパクトにでき、特に墨モデルは文字自体が目立たずスッキリしています。
4辺のマージンも切り詰められており、一般的なコンパクトキーボードより小さくすっきりした印象を受けます。
アップル製品などミニマルなデザインが好きな人は、見た目も気に入ると思います。
5. 元を取る意識が生まれる
HHKBは、いちばん安いモデルでも2万円以上します。最上位のType-sは、3万円オーバーです。
価格帯が1万円を越えれば高級キーボードに入ると思いますが、2万はおろか3万オーバーは強気を通り越し狂気の沙汰。
そのため「これだけ高いキーボードを買ったのだから」と、生産性アップのプレッシャーが生じます。
このプレッシャーが良いことなのか疑問ですが…、「投資をした」という意識で生産性は自ずと上がります。
HHKBのデメリット
メリットをいくつか上げましたが、もちろん良い点ばかりではありません。HHKBのデメリットも、きちんと書いておきます。
一番のデメリットは、やはり「打ちづらさを感じる人もいる」だと思います。
キーボードに高さがあるので、手首を少し上げたような形で打つことになります。慣れれば気になりませんが、疲労を感じる人はいると思います。
あとは、やはり価格が高すぎます。初めてなら、「ちょっと買ってみて、試してみよう」とはなかなかなりません。
東京・大阪・名古屋には、HHKBを試打できるPFUのショップがあります。それらの都市に住んでいる人は、購入前に実物を試し打ちしてみるのがよいでしょう。
レンタルでも試打できる
近場にPFUのショップがない場合、レンタルで試打してみる方法があります。
HHKBをレンタルしているサービスと料金を、表にしてみました。
Rentio | モノカリ | kikito | |
---|---|---|---|
お試し料金 | 15日間 8,700円 | 14日間 4,400円 | 15日間 6,000円 |
機種 | HYBRID Type-S (日本語・英語) | HYBRID Type-S (英語のみ) | HYBRID Type-S (日本語・英語) |
月額制 | 4,000円 (最低期間3か月) | なし | 3,900円 (最低期間3か月) |
購入前に試したい場合は、レンタルを検討してください。
デメリットがありながら、なぜか使ってしまう
別の記事で、HHKBのデメリットをまとめています。
デメリットが多数ありながら、なぜか使ってしまう。そんな魅力あるキーボードです。以下の記事を参考にしてみてください。
>> HHKBのデメリットを5つ解説【正直いって使いにくい】
まとめ
以上、HHKBのレビューを紹介しました。メリットは以下の5点です。
「仕事中はずっとキーボードを使っている」そんなひとも多いと思います。キーボードは、生産性に直結する大切な道具です。
クセはあるものの、ハマれば独特の心地よさでずっと文字を書きたくなります。気になった人は試してみてください。