自分の能力を引き出す薬があったら、あなたは使いますか?

2018-06-13 16:19

こんにちは。アメリカで起こっていることは、時間を置いて日本でも発生することが多いです。アメリカのドキュメンタリー映像を見ることは、日本の未来を垣間見ることになります。

 

昨日、興味深いアメリカのドキュメンタリー映像を見ました。Netflixオリジナルドキュメンタリー“テイク・ユア・ピル:スマートドラッグの真実”という作品です。

 

ここで取り上げているスマートドラッグとは、アデロールという薬です。これはADHD(注意欠如・多動性障害)の治療薬。

 

ADHDとは注意力散漫になって、じっとしてられない症状のことです。「多動力」という言葉が流行っていますが、その生き方はADHDと関連性が強いです。

 

アデロールを飲むとADHDの症状が収まり、物事に集中できるようになります。ADHD気味のお子さんを抱えるアメリカのお母さんは、この薬を子どもに服用させることでかなり恩恵を受けているようです。

 

この薬は、アメリカでは処方箋なしにオンラインで購入することが可能なんですね。そして問題視されているのは、ADHDでなくても通常の人が集中力を高めるために使っているという点なんです。

 

つまり、いわゆる「ハイ」になるためにドラッグを購入するのではなく、勉強や仕事などで成果を出すためドラッグに頼る人が増えているのです。

 

とある大学の学生へのインタビューでは、周りの多くの学生が使っていると告白しています。インタビューに答えている人も、「わずか数ドルで成績がアップするなら安いもの」と悪びれる様子がありません。

 

他にもIT起業に勤めるエンジニアや金融業に勤める会社員もインタビューに出演。集中力を高まるため手放せないと語ります。

 

彼らに共通しているのは、過酷な競争社会にいるという点です。

 

薬を飲むものと飲まないものとでは、能力を引き出す部分で差がついてしまう。「薬を飲むことでフェアになる」「飲まなくては損」と考えています。そのため薬を飲むことが食事することと同じように、当たり前のことになっていきます。

 

でも問題が当然あります。一番は、集中力や高揚感が高まることで、睡眠障害が起きるんですね。そのためよく眠れるように今度は睡眠導入剤を使用するようになる。

 

アデロールの効きが悪くなると量を増やすようになり、さらに睡眠導入剤の量も増える。こうしてドラッグの依存状態になってしまうのです。健康な人間が薬に依存して毎日を過ごすのは、良い状態とは言えません。

 

この映像では他にも色々な問題点が出てきてまとめにくくはあるのですが、印象的だったのは2点。一つは、二人の被験者にそれぞれアデロールと偽薬を使い検証したところ、偽薬を飲んだ人も「集中力が高まった」と答えたことです。

 

つまりアデロールはただのきっかけに過ぎないんですね。決して、それを飲むことで「自分の潜在している能力が引き出される」そんな万能薬ではないのです。

 

もう一つは、映像の中で専門家の方が指摘していたこと。「現代は自分の能力以上のものが求められすぎている」という点です。

 

今はSNSをはじめ、周りの人の「いい面」が可視化されています。「自分もそんな完璧な人生をいきなきゃ」とばかりに、自己啓発書がものすごく流行っていますね。

 

アデロールのような薬に頼るのは、そうやってあまりにも「完璧な人生」を追い求め過ぎだからではないか、そう警鐘を鳴らしています。

 

身の丈を越えた自分になろうとして、アメリカ国民の多くが無理をしてしまっているというわけです。無理をすればその代償は必ず払うことになります。アデロールを使用してオーバーワークを続けていると、体はある地点で本人が気づかないうち朽ちてしまうでしょう。

 

ちなみに日本でアデロールは許可されていませんが、需要はものすごくありそうに思いますね。数年後、日本でもスマートドラッグが問題視されている可能性は大いにあります。

 


Category:映画・音楽・本

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