SONYのLinkBudsを使い始めて、2か月が経ちました。思った以上に良いです。毎日、使っています。
なんといっても、軽くて小さい。耳への負担が低いため、自宅では着けっぱなしが多いです。ランニング時にも重宝しています。
この記事では、LinkBudsのレビューを紹介します。
軽量穴あきイヤホンLinkBuds レビュー
LinkBudsとは、SONYが開発した新コンセプトのワイヤレスイヤホンです。
従来のイヤホンは、「いかに静寂性・遮音性を高めるか」に力点を置いています。一方、LinkBudsはその逆で、「いかに自然に外音を取り込むか」に注力しています。
ドライバに穴があいている
「自然に外音を取り込む」の解決策として開発されたのが、「ドライバ部分の空洞化」です。
文字通りドライバ部分にドーナツのような穴をあけ、直接、外音を取り込みます。SONYならではの斜め上の発想ですね。
音量を下げると外の音が自然に耳に入ってきてBGM的に楽しめるのですが、逆に音量を上げていくと外音が遮断されて、音に傾聴するような楽しみ方ができるようになっています。
SONY公式サイト|開発者インタビューより
スペックの紹介
LinkBudsのスペックは、以下の表のような感じです。
| LinkBuds |
---|---|
発売日 | 2022年2月25日 |
メーカー価格 | 23,100円 |
重量 | 約4.1グラム×2 |
カラーリング | グレー、ホワイト |
コーデック | SBC, AAC |
SoC | V1 |
スピーク・トゥ・チャット | ⚪︎ |
Auto Play | ⚪︎ |
マルチポイント | ⚪︎(2台まで) |
アップスケーリング機能 | DSEE |
防水 | IPX4 |
充電時間 | 約1.5時間 |
急速充電 | 10分充電で90分再生可能 |
Qi規格のワイヤレス充電 | × |
連続音声再生時間 | 最大5.5時間 |
連続通話時間 | 最大2.5時間 |
通信方式 | Bluetooth標準規格 Ver.5.2 |
イヤホン1つの重量が、4.1グラムしかありません。小型といわれる同じSONYのWF-1000XM4が7.3グラムなので、その軽さがよく分かります。
プロセッサーはWF-1000XM4と同じV1。音質をCDレベルまでアップスケーリングする、DSEEを搭載しています。
SONY公式サイトでのDSEEの解説は、以下の通りです。
圧縮された音源で失われがちな高音域をCD音質相当までヘッドホン内で補完します。ストリーミング再生やMP3、Bluetoothの伝送コーデックなどにより圧縮された音源を、自然で広がりのある音で再生します。
SONY公式サイト|LinkBuds 特長より
防水規格はいわゆる生活防水の、IPX4まで可能です。
2万円前後と価格を抑えながら、スペックは揃えてきている印象です。
3つのメリット
LinkBudsを実際に使ってみて、率直な感想は「思ったより良い」です。
特殊なので1台目のイヤホンとしてオススメしないものの、すでにノイキャン・イヤホンを持っているなら、2台目の候補に上げても良いと思います。
LinkBudsのメリットは、以下3つです。
1. 着け心地が良い
LinkBudsの最大のメリットは、着け心地が良いことです。
その奇抜な形状から、最初はどのように着けるか迷います。
正解は、「穴の空いたドライバ部分を耳の下に差し込み、もう片方を耳の上部のフチに引っ掛ける」です。
以下の写真がわかりやすいです(SONY公式サイトから引用)。
実際に着けてみると、想像以上にすっぽり耳に収まります。耳の構造をよく研究して設計したのだと思います。
フィッティングサポーターで耳に固定
もちろん耳の大きさは、人によって違います。
そのため耳の上部のフチに引っ掛けるフック(フィッティングサポーター)は、弾力のあるシリコン素材でサイズの付け替えが可能です。
付属品には、5サイズのフックが付いてきました。
耳栓タイプの欠点をすべて解決
耳栓タイプ(カナル型)のイヤホンに慣れると、LinkBudsの着け心地の良さが際立ちます。
カナル型は遮音性を高めるため、耳の穴にイヤーピースを密着させます。そのため以下のような欠点があります。
- 長時間の使用で耳の中が蒸れる
- 長時間の使用で耳が痛くなる
- イヤーピースに耳垢が付着する
イヤーピースを持たないLinkBudsは、これらカナル型の欠点をすべて解消します。
長時間の使用でも疲れにくい
LinkBudsはイヤーピースがないため、耳の穴に入れようがないし耳垢もつきません。
開放感があり、形状は小さく軽量。着けているのを忘れるほど、存在感がありません。
しっかり音楽を聴き込んだり、周囲のノイズを耳に入れたくないなら、LinkBudsは適しません。一方、疲れず長時間使いたいなら良い選択になります。
2. 周囲の音を自然に聞ける
2つ目のメリットは、周囲の音を聞ける点です。
ドライバに穴の開いているLinkBudsは、音楽を聞きながらでも外音が自然に耳に入ってきます。
生活音に気づける
LinkBudsを着けながら音楽を聴いていても、キッチンの食洗機や浴室近くの洗濯乾燥機の終了音を聞き取れます。
宅配便が来たとき玄関のチャイムにも、問題なく気付けました。
音楽を聴きながら環境音を聞き取りたいときは、LinkBudsは良いです。
カナル型のノイズキャンセリング・イヤホンだと、まずそれら周囲の音に気づけません(外音取り込みモードにすれば別です)。
3. 通話品質が良い
最後のメリットは、通話品質の良さです。相手の声が問題なく聞こえるのはもちろんのこと、マイク性能も高いです。
実際、LinkBudsを着けて通話してみたところ、通話相手から「明瞭に声が聞こえる」と良い感触を得ました。
高精度ボイスピックアップテクノロジー
LinkBudsのマイクには環境音をカットし声をクリアに伝える、「高精度ボイスピックアップテクノロジー」が搭載されています。
AIの機械学習により環境音を抑え、人間の声をクリアに伝える仕組みです。こういったソフトウェアが底上げし、マイク性能を良くしています。
以下の動画で実際にノイズのある環境で通話した際、音声がどのように聞こえるか実証しています。
デメリットはバッテリーもち
特殊な形状のLinkBudsですが、デメリットを上げるならバッテリーもちが悪いことです。
WF-1000XM4はノイズキャンセリング機能をオンにして、連続音声再生時間が8時間です。一方、LinkBudsは、連続音声再生時間が5.5時間しかありません。
DSEEはバッテリー消費が高い
音質をアップスケーリングするDSEEをオンにすると、さらに稼働時間は短くなります。
DSEEとはSONY独自の機能で、AIの解析により圧縮音源の足りない情報を補い、音質を向上させます。
LinkBudsではDSEEをオンにすることで「CDレベルまでアップスケーリングする」としていますが、欠点はバッテリー消費が激しいことです。
屋外ではDSEEをオフに
室内の静かな環境で聴くならDSEEをオンにしたほうが、音楽の体験は良くなります(プラシーボ効果を含む)。
ただしドライバに穴の空いているLinkBudsは、屋外や騒がしいカフェだとDSEEをオンにしてもあまり恩恵はないでしょう。
屋外で使用するときはバッテリー消費を考え、DSEEをオフにしても良いと思います。
ランニングにぴったり
LinkBudsのメリットとデメリットを考えると、いちばん活かせる場面はランニングやウォーキングです。
軽量なイヤホンなので、着けていてもわずらわしさを感じません。イヤーピースがないため、汗で耳の中が蒸れることもないです。
穴の空いたドライバからは、環境音が自然と入ってきます。好きな音楽を聴きながら、外の音も感じるのはとても不思議な感覚です。
写真レビュー
メリットとデメリットを解説したところで、LinkBudsを写真で紹介します。
SONYはWF-1000XM4から、ブランドイメージを変えています。それがLinkBudsにも反映されていました。
パッケージはシンプルでナチュラル。メーカーとブランドロゴ、LinkBudsの写真がプリントされています。
充電ケースの大きさは、幅:約5センチ、奥行き:約4.2センチ、高さ:約3.5センチ。イヤホンを入れた状態で、重量が約42グラムです。
WF-1000XM4と並べてみました。LinkBudsの充電ケースは、WF-1000XM4の2/3ほどの大きさです。
充電ケースの手前のボタンを押し込んで、蓋を開きます。
蓋を開けると、本体が収まりよく入っています。
耳に接する裏面はこんな感じです。装着を検知するセンサーが付いています。
ちなみにLinkBudsは、片耳だけでも音楽を再生できます。
ワイドエリアタップに対応
LinkBudsは他のSONYのワイヤレスイヤホンと同じく、本体をタップすることで「再生・停止・スキップ」など操作できます。
それだけでなく、着けている耳の周囲をタップしても操作を認識します。
ワイドエリアタップと呼ばれる機能で、主な場所は耳たぶより内側のエリアです。下の図を参照にしてください(SONY公式サイトから引用)。
SONYのイヤホンは、本体タップの操作がうまくいかないイメージがあります。
ただしLinkBudsは、話が別です。本体はもとより周囲の肌をタップするとほぼ確実に認識します。ストレスを感じません。
まとめ
以上、SONYの穴あきイヤホン・LinkBudsのレビューを紹介しました。
LinkBudsのメリットは、以下の通りです。
従来のイヤホンに比べ、軽くて着け心地がよく、環境音が自然に入ってきます。慣れると着けているのを忘れるほど。
特にランニングやウォーキングのお供にピッタリですね。LinkBudsで室内でも屋外でも、音楽を楽しみましょう。
またLinkBuds発売後の4か月という早いサイクルで、派生機のLinkBuds Sが登場しました。ところが形状がまったく別物…。以下の記事で詳しく解説しています。
>> SONYの不可解な戦略。LinkBuds SはWF-1000XM4 Sが妥当