SONYから2022年6月3日に新しいイヤホンが登場しました。その名も、LinkBuds S。
「え、LinkBuds S?LinkBudsの系列がもう出たの?」と驚いたひともいるでしょう。その形状がLinkBudsとまったく異なり、2度驚いたひとも多いと思います。
この記事では、SONYが付けた「LinkBuds S」という不可解なネーミングについて感想を書きます。
LinkBudsとは形状の異なるLinkBuds S
SONYのイヤホンを使っている人なら、LinkBuds Sと聞いて「おや?」と思ったことでしょう。
Sの付いていない元祖・LinkBudsは、2022年2月25日にSONYが発売したイヤホンです。ドライバ部分に穴が空いており、環境音を取り込めるのが特徴です。
購入して以来、個人的に愛用しており、以下のようなレビューも書いています。
>> 【LinkBudsレビュー】ランニングに最適な軽量穴あきイヤホン
LinkBudsは穴の空いた独特な形状のイヤホン
LinkBudsは「環境音を自然に取り込む」をコンセプトに作られた、左右分離型のイヤホンです。穴の空いたドライバ部分から、周囲の音を聞くことができます。
1つの重量が4.1グラムしかなく、「小型・軽量・環境音の取り込み」とランニングやウォーキングに適したイヤホンです。
LinkBudsと形状の違うLinkBuds S
そのLinkBuds発売から4か月弱と短い期間で、派生製品のLinkBuds Sが登場したのです。
「どんな製品だろう。Sとつくからには、LinkBudsの改良版なんだろうな」と期待してSONYのウェブサイトを見たら、LinkBudsと似ても似つかない形状で驚きました。
LinkBuds SはWF-1000XM4 Sが妥当
LinkBuds Sは、WF-1000XM4と同じ密閉型イヤホンです。LinkBudsの特徴だった穴の空いたドライバは、見る影もなし。
機能は以下を備えています。
- ノイズキャンセリング機能
- 外音取り込み
- 風切り音低減
特徴自体は、一般的な左右分離型ノイキャン・イヤホンと変わりません。見た目は、WF-1000XM4をひと回り小さくした形をしています。
ただしノイキャン性能は、WF-1000XM4の先代であるWF-1000XM3と同等としています。メーカー価格もWF-1000XM4より、1万円ほど安いです。
つまり形状や特徴から見て、LinkBuds SはWF-1000XM4の低価格バージョン(廉価版)なのです。
ネーミングをつけるなら、WF-1000XM4 Sが妥当です。
「WF-1000XM4 S」なら発売時期も合点がいく
ネーミングが「LinkBuds S」でなく「WF-1000XM4 S」なら、合点がいきます。というのも、発売時期がちょうどよいからです。
WF-1000XM3とWF-1000XM4は、2年の間隔をあけてリリースしています。
その法則に従うと2022年はリリースのない年なので、その間を埋めるためWF-1000XM4の廉価版を出す。その戦略は理にかなっています。
LinkBudsとは似ても似つかぬ製品
WF-1000XM4の価格が高いと感じていた人は、1万円安い廉価版に興味を示すでしょう。
ノイキャン性能が劣るとはいえ、WF-1000XM4より小型で軽量なら引きがあります。
しかしSONYは、この製品をLinkBudsの派生としてリリースしました。LinkBudsとは、似ても似つかぬ製品にも関わらず。不可解です。
LinkBudsシリーズの定義とは
今後、LinkBudsは2・3といった進化系ではなく、LinkBudsシリーズとして展開するそうです。
ではLinkBudsシリーズとは、どのようなものか。SONYのサイトに説明がなされています。以下、引用です。
LinkBudsシリーズとは
SONY公式サイト ニュースページより
小型軽量で快適な装着性と自然な外音取り込みができる特長により、ヘッドホンの常時装着という新しい使用スタイルと音体験を提案します。さらに、センシング技術とパートナー企業のアプリケーションとの連携により、さまざまな音体験を提供します。
文章の後半はソフトウェアに関するものなので、このシリーズ特有とはいえないでしょう。ポイントは前半部分。
前半を読む限りLinkBudsシリーズとは、以下に定義できます。
「小型・軽量かつ、自然な外音取り込みで常時装着を基本とするモデル」
どんなイヤホンにも当てはまる定義
確かにそういわれると、LinkBudsはその定義に当てはまります。LinkBuds Sも、まあ間違ってはいません。
しかし「小型・軽量・自然な外音取り込み」は、LinkBudsだけでなくWF-1000XM4にもあてはまります。
WF-1000XM4にも外音取り込み機能があり、重量の違いはほんの数グラム。誤差の範囲です。
つまりLinkBudsの定義は今どきの左右分離型イヤホンなら、どれにも当てはまる曖昧なものなのです。
ノイキャンは定義と矛盾する
また最も違和感なのが、LinkBuds Sにノイズキャンセリング機能を付けた点です。
ノイズキャンセルは逆位相の音で環境音を相殺し、静寂を作る機能です。
「常時装着を基本とする、自然な外音取り込み」がLinkBudsシリーズの特徴なら、矛盾する機能といえます。
LinkBuds Sにノイキャン機能を搭載したこと自体が、LinkBudsシリーズの定義をブレさせています。
ユーザーが混乱するラインナップ
断っておきますが、LinkBuds S自体に文句をつけたいわけではありません。疑問に思うのは、SONYのラインナップの不可解さです。
せっかくLinkBudsというそれまでにない新しいコンセプトの製品を作ったのに、その派生としてまったく異なる形状のものをリリースしていてはユーザーは混乱します。
個人的にはLinkBuds Sを見て、SONYに対する期待が低下しました。
種類が多すぎるSONYのイヤホン
個人的に「WF-1000XM3 → WF-1000XM4 → LinkBuds」と、左右分離型ワイヤレス・イヤホンはソニー製品を使ってきました。
WF-1000XM4もLinkBudsも、製品自体は快適に使用しています。
しかしSONYのラインナップには、難があると思っていました。そもそも製品名が型番で覚えにくいし、種類が多すぎます。
SONYとAppleのラインナップの違い
以下からSONYストアのヘッドホン・イヤホンページを見てみてください。製品のスクロールが、いつまでも終わりません。数えてみたら31種類もありました。
SONY公式サイト >> ヘッドホン一覧
ちなみに競合のAppleのイヤホンは、4種類のみです。
Apple公式サイト >> AirPods
製品名のついたLinkBudsに期待したが…
そんなカオスなラインナップで、LinkBudsは型番とは別に覚えやすい製品名がついています。
「今後はラインナップを整理するのかもしれない」と期待しただけに、今回の製品にLinkBuds Sというネーミングをつけ、カオス化に拍車をかけたのは残念でなりません。